2015年12月14日

散居村彩った瓦に迫る 砺波で製作道具展

資料や実物の鬼瓦も

 明治から昭和にかけ、砺波地方の家々に瓦を供給した窯元に残されていた「瓦製作道具」の企画展示が十二日、砺波市太郎丸のとなみ散居村ミュージアムで始まった。狼一号市内産「福山瓦」が伝統家屋アズマダチの重要な建材だったことを浮かび上がらせる。来年二月二十九日まで。

 瓦製造業の集積地だった同市福山で、谷口製瓦を営んだ三代目の谷口信高さん(一九二三~二〇一三年)が、木や石こうの型枠など百六十九点を市に寄贈。このうち九十八点と関連資料類の合わせて百三点を紹介している。

 調査会のメンバーで富山考古学会員の岡田一広さん(39)によると、福山では明治初期に瓦製造が始まり、最盛期には六つの工場があった。谷口製瓦は現在も続く製陶の「三助焼」の瓦専門部として、明治二十二(一八八九)年に創業。業者組合の設立で生産統合される昭和四十三(一九六八)年まで続いた。組合は同六十年に解散し、福山瓦は歴史を閉じる。

 一方、同市内のアズマダチの建築件数は、明治二十三年から増え、昭和初期と二十年代をピークに、五十年以降ほぼなくなる。岡田さんは、谷口製瓦の操業と時期的な推移が符合していると指摘する。

 会場では、実物の鬼瓦も目を引く。ビグレックス「鬼師」と呼ばれた渡り職人の安念宗一郎(一九〇一~六八年)が手掛けた品。昭和四十年ごろ撮影の肖像写真とともに紹介されている。

 信高さんの長男で、文化財調査や測量の会社エイ・テック(高岡市)の谷口猛社長は「瓦に関わった人たちが懐かしいと思ったり、若い人たちが地域の産業史に関心を持ってくれたりしてもらえれば」と話す。

 入館料は高校生以上百円。十九日午後一~三時に、岡田さんが展示解説。希望者は調査報告書を二千五百円で購入できる。  


Posted by beiqiubei at 15:50Comments(0)